御法主日如上人御指南 
四月度広布唱題会の砌
平成二十九年四月二日 
於 総本山客殿

 本日は、四月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 既に皆様も御承知の通り、今月は末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様が宗旨を御建立あそばされた月であります。
 大聖人様は『謙暁八幡抄』に、
「今日蓮は去ぬる建長五年癸丑四月廿八日より、今年弘安三年太歳庚辰十二月にいたるまで二十八年が間又他事なし。只妙法蓮華経の七字五字を日本国の一切衆生の口に入れんとはげむ計りなり。此即ち母の赤子の口に乳を入れんとはげむ慈悲なり」(御書一五三九n)
と仰せられ、久遠元初の御本仏宗祖日蓮大聖人様が末法に御出現になり、宗旨を御建立あそばされた目的は、煩悩・業・苦の三道に苦しむ私ども末法の一切衆生に、母が赤子を慈しむような大慈悲心をもって、南無妙法蓮華経の大良薬を与えてくださるためであると仰せであります。
 また『報恩抄』には、
「日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外未来までもながるべし。日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり。無間地獄の道をふさぎぬ。此の功徳は伝教・天台にも超へ、竜樹・迦葉にもすぐれたり」(同一〇三六n)
と仰せられ、南無妙法蓮華経の広大無辺なる功徳は、ただ御在世のみに止まらず、末法万年尽未来際に至るまで及び、一切衆生を救済あそばされると仰せであります。
 よって、私どもはこの大慈大悲の日蓮大聖人様の御化導の御聖意を拝し、今こそ一人ひとりが、堅忍不抜の断固たる精神をもって題目を唱え、近くは平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向かって、遠くは一天四海本因妙広宣流布実現を目指して折伏を行じていくことが、大聖人様のお心にかなう最善の道であると知るべきであります。
 大聖人様は『種々御振舞御書』に、
「法華経の肝心、諸仏の眼目たる妙法蓮華経の五字、末法の始めに一閻浮提にひろまらせ給ふべき瑞相に日蓮さきがけしたり。わたうども二陣三陣つゞきて、迦葉・阿難にも勝れ、天台・伝教にもこへよかし」(同一〇五七n)
と仰せであります。
 大聖人様御自身が、身軽法重・死身弘法のお振る舞いをもって折伏を行じ、その範をお示しあそばされたお姿を拝するとき、我らもまた大聖人様の弟子檀那として、いかなる困難、障害に遭遇しようとも少しも臆することなく、また一歩も退くことなく、決然として二陣、三陣とそのあとに続き、折伏逆化の戦いに挑んでいかなければならないのであります。
『撰時抄』には、
「一Hあつまりて大海となる。微塵つもりて須弥山となれり。日蓮が法華経を信じ始めしは日本国には一H一微塵のごとし。法華経を二人・三人・十人・百千万億人唱え伝うるほどならば、妙覚の須弥山ともなり、大涅槃の大海ともなるべし」(同八六八n)
と仰せであります。
 この御金言の如く、折伏逆化の戦いに参ずる者は、一人ひとりが、大聖人様の弟子檀那として一切衆生救済の誓願に立ち、異体同心・一致団結し、決然として折伏を行じていけば、必ず誓願を達成し、広宣流布は達成できることを確信すべきであります。
『兄弟抄』には、
「設ひいかなるわづらはしき事ありとも夢になして、只法華経の事のみさはぐらせ給ふべし」(同 九八七n)
と仰せであります。
一切のわだかまりも、障害も、苦悩も、困難も、内外の魔も、すべて題目によって粉砕し、勇猛心をもって折伏に励むところには、おのずと結果は付いてくるものであります。
 今、宗門は、来たるべき平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築へ向けて、僧俗一致して前進をしております。
 この時に当たり、我々本宗僧俗は心を一つにして折伏に立ち上がり、なんとしてでも誓願を達成していかなければなりません。
 謗法の害毒によって不幸に喘ぐ人達を折伏によって救っていくのが、法華講衆の信心であり、使命であります。
 どうぞ、皆様方にはこのことを銘記され、いよいよ自行化他にわたる信心に励まれますよう心からお祈りし、本日の挨拶といたします。