御法主日如上人御指南 
唱題行(一月三十一日)の砌
平成二十九年一月三十一日 
於 総本山客殿

 本年一月度の唱題行の最終日に当たり、一言申し上げます。
 元旦から始めました本年一月度の唱題行も、本日をもって終了いたしますが、皆様には一カ月間、まことに御苦労さまでございました。
 信心は寒苦鳥のようではなく、継続することが大事でありますので、これからも各自、唱題行を続けられ、功徳を積んでいただきたいと思います。
 さて『法華題目抄』を拝しますと、「問うて云はく、妙法蓮華経の五字にはいくばくの功徳をおさめたるや。答へて云はく、大海は衆流を納め、大地は有情非情を持ち、如意宝珠は万宝を雨らし、梵王は三界を領す。妙法蓮華経の五字も亦復是くの如し。一切の九界の衆生並びに仏界を納めたり。十界を納むれば亦十界の依報の国土を収む」(御書 三五五n)
と仰せであります。
 この御文は、妙法蓮華経の五字にどれほどの功徳が収められているかの問いに対して、「大海はあらゆる河の水を収め、大地はあらゆる有情、非情、すなわち人畜、草木等のすべてを載せている。また如意宝珠は一切の宝物を自在に降らし、大梵天王は欲界・色界・無色界の三界をすべて治めている。それと同じように、妙法蓮華経の五字には地獄から菩薩までの九界の一切衆生と仏界とをすべて収めている。既に十界の一切を収めている以上、その住処たる国土の一切を収めていることは明らかである。すなわち妙法蓮華経の五字のなかには、十界の依報と正報、三千の万法をことごとく収めている」と仰せられているのであります。
 すなわち、この御文は妙法蓮華経の五字に十界三千の諸法をことごとく収めていることを示され、もって妙法蓮華経に具わる功徳の無量無辺なることを明かされているのであります。
 されば『聖愚問答抄』には、
「此の妙法蓮華経を信仰し奉る一行に、功徳として来たらざる事なく、善根として動かざる事なし。譬へば網の目無量なれども、一つの大綱を引くに動かざる目もなく、衣の糸筋巨多なれども、一角を取るに糸筋として来たらざることなきが如し」(同 四〇八n)
と仰せられているのであります。
 今、宗門は、来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向かって、僧俗一致して力強く前進しておりますが、この時に当たり、一人ひとりが大御本尊に対する絶対の信、すなわち無疑曰信の信心に住して、一人でも多くの人に一切衆生救済の秘法たる本因下種の妙法を下種し、折伏を行じていくことが肝要であります。
 よって、私どもは本日よりなお一層、唱題に励み、遠くは一天四海本因妙広宣流布を目指し、近くは平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築へ向かって、力の限り折伏を実践し、もって一人ひとりが確固たる幸せを獲得されますよう心からお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。