御法主日如上人御指南 
唱題行(1月3日)の砌
平成二十九年一月三日 
於総本山客殿

 宗旨建立七百六十五年「折伏育成の年」あけましておめでとうございます。
 皆様には、本年度の初登山に当たり、ただいまは唱題行に参加され、すがすがしく「折伏育成の年」を迎えられ、決意も新たに、いよいよの精進・御奉公をお誓いのことと存じます。
 昨年は、平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の記念事業の第一回特別御供養に当たり、皆様方には真心からの御厚志を賜り、心から厚く御礼を申し上げます。まことに有り難うございました。
 皆様から頂いた御供養は、記念局として、為宗為法、有意義かつ有効に使用させていただき、仏祖三宝尊への御報恩に資していきたいと存じます。
 また、かねて宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年記念事業として行われておりました総本山五重塔の修復工事が、このたび無事完了し、今月十六日には、代表の方々に御出席をいただき、修復完成法要を奉修することになっております。
 これもひとえに、皆様方の愛宗護法の真心からの尊い御供養によるものであり、この席を借りまして、改めて皆様方に心から厚く御礼を申し上げます。まことに有り難うございました。
 さて『撰時抄』を拝しますと、
「亦於現世得其福報の八字、当於今世得現果報の八字、已上十六字の文むなしくして日蓮今生に大果報なくば、如来の金言は提婆が虚言に同じく、多宝の証明は瞿伽利が妄語に異ならじ。一切衆生も阿鼻地獄に堕つべからず。三世の諸仏もましまさゞるか。されば我が弟子等心みに法華経のごとく身命もをしまず修行して、此の度仏法を心みよ。南無妙法蓮華経、南無妙法蓬華経」(御書八七一n)
と仰せられています。
 「亦於現世得其福報」の八字とは「亦現世に於て、其の福報を得ん」(法華経六〇六n)と読みます。また「当於今世得現果報」の八字とは「当に今世に於て、現の果報を得べし」(同n)と読み、この両文は共に法華経普賢菩薩勧発品の御文にして、妙法信受の功徳の広大なることを示されているのであります。
 されば、私どももこの御文を拝し、大御本尊様の広大無辺なる功徳を確信し、「我が弟子等心みに法華経のごとく身命もをしまず修行して、此の度仏法を心みよ」との御金言のままに、不惜身命の信心に立って自行化他の信心に励むことこそ、今、最も肝要であります。
 今、宗門は、全国の各講中ともに、来たるべき平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築の達成へ向かって前進をしておりますが、この時に当たり、最も大切なことは、大御本尊様に対する絶対の確信のもとに講中一括し、志を同じくして誓願達成へ向かって前進することであります。
 大聖人様は『異体同心事』に、
「日本国の人々は多人なれども、同体異心なれば諸事成ぜん事かたし。日蓮が一類は異体同心なれば、人々すくなく候へども大事を成じて、一定法華経ひろまりなんと覚へ候。悪は多けれども一善にかつ事なし」(御書一三八九n)
と仰せであります。
 何事も、事をなすためには、異体同心の団結が最も肝要であります。
 皆様には、講中が志を同じくして、法華講員八十万人体勢構築へ向けて固く団結していけば、いかなる障魔も恐れをなし、誓願は必ず達成されますことを確信し、いよいよ御精進をされますよう心から願い、本日の挨拶といたします。