御法主日如上人御指南 
唱題行(1月2日)の砌
平成二十八年一月二日 
於総本山客殿

 宗旨建立七百六十五年「折伏育成の年」あけましておめでとうございます。
 皆様には、本年度の初登山に当たり、ただいまは唱題行に参加され、すがすがしく「折伏育成の年」を迎えられ、決意も新たに、いよいよの精進・御奉公をお誓いのことと存じます。
 昨年は、平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の記念事業の第一回特別御供養に当たり、皆様方には真心からの御供養を賜り、心から厚く御礼を申し上げます。まことに有り難うございました。
 皆様から頂いた御供養は、記念局として、為宗為法、有意義かつ有効に使用させていただき、仏祖三宝尊への御報恩に資していきたいと存じます。
 また、お陰さまをもちまして、かねて宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年記念事業として行われておりました総本山五重塔の修復工事が、このたび無事完了し、今月十六日には、代表の方々に出席をいただき、修復完成法要が奉修されることとなりました。
 これもひとえに、皆様方の愛宗護法の真心からの尊い御供養によるものであり、この席を借り、改めて御礼を申し上げます。まことに有り難うございました。
 さて『持妙法華問答抄』を拝しますと、
「寂光の都ならずば、何くも皆苦なるべし。本覚の栖を離れて何事か楽しみなるべき。願はくは『現世安穏後生善処』の妙法を持つのみこそ、只今生の名聞後世の弄引なるべけれ須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ、他をも勧めんのみこそ、今生人界の思出なるべき」(御書 三〇〇n)
と仰せられております。
「現世安穏後生善処」とは、法華経薬草喩品の御文にして、妙法信受の功徳を説かれているのであります。すなわち、妙法を聞いてこれを信受する人は、現世では安穏な生活を送ることができ、来世には善処に生まれ、妙法を信受することができると仰せられているのであります。
また『御講聞書』には、
「所詮法華経を弘むるを以て現世安穏後生善処と申すなり云云」(同一八三八n)
と仰せられております。すなわち、妙法を弘通する者の功徳を説いて、折伏をする者は、現世安穏後生善処は疑いないと仰せられているのであります。
 されば、先の御文においても「須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ、他をも勧めんのみこそ、今生人界の思出なるべき」と仰せられ、己れのみではなく、妙法の功徳を他にも勧めることこそ、すなわち自行化他の信心に励むことこそ「今生人界の思出」であると御教示あそばされているのであります。
 今、宗門は、来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向かって、僧俗一致・異体同心して、力強く前進をしております。
 この時に当たり、我々は一人ひとりが、ただいま拝読した御文を心肝に染め、法華講員八十万人体勢構築の誓願を必ず達成すべく、各講中ともに異体同心して唱題に励み、その功徳と歓喜をもって折伏を行じ、晴れて大御本尊様の御照覧を仰ぎ奉られますよう心からお祈りし、本日の挨拶といたします。