御法主日如上人御指南 
唱題行の砌
平成二十八年一月三十一日 
於総本山客殿

 皆さん、おはようございます。
 本年一月度の唱題行最終日に当たりまして、一言申し上げます。
 元旦から始めました本年一月度の唱題行も、本日をもって終了いたしますが、皆様方には一カ月間、まことに御苦労さまでございました。
 さて、大聖人様は唱題の功徳について『法華初心成仏抄』に、
「凡そ妙法蓮華経とは、我等衆生の仏性と梵王・帝釈等の仏性と舎利弗・目連等の仏性と文殊・弥勤等の仏性と、三世諸仏の解りの妙法と、一体不二なる理を妙法蓮華経と名づけたるなり。故に一度妙法蓮華経と唱ふれば、一切の仏・一切の法・一切の菩薩・一切の声聞・一切の梵王・帝釈・閻魔法王・日月・衆星・天神・地神・乃至地獄・餓鬼・畜生・修羅・人天・一切衆生の心中の仏性を唯一音に喚び顕はし奉る功徳無量無辺なり」(御書一三二〇n)
と仰せられております。
 すなわち、唱題によって我ら衆生の心中の仏性が呼び起こされ、成仏に至ると仰せられているのであります。
 また『妙法尼御前御返事』には、
「白粉の力は漆を変じて雪のごとく白くなす。須弥山に近づく衆色は皆金色なり。法華経の名号を持つ人は、一生乃至過去遠々劫の黒業の漆変じて白業の大善となる。いわうや無始の善根皆変じて金色となり候なり」(同一四八三n)
と仰せられ、唱題によって過去遠々劫から積み重ねてきた様々なる悪業も、妙法の経力によって善業に転ずることができると仰せられております。
 さらに『持妙法華問答抄』には、
「願はくは『現世安穏後生善処』の妙法を持つのみこそ、只今生の名聞後世の弄引なるべけれ。須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ、他をも勧めんのみこそ、今生人界の思出なるべき」(同 三〇〇n)
と仰せられています。
 まさしく、唱題は一生成仏の直道なるが故に、すべからく心を一つにして、自らも唱え、他人をも勧める、すなわち自行化他の信心に励むことが、今生に人間として生まれてきた最善の思い出になると仰せられているのであります。
 されば、私どもはこれらの御金言の如く、至心に唱題に励み、折伏を行じ、自行化他の信心に励むことが、最も肝要であることを肝に銘じていかなければなりません。
 特に、本年は「折伏躍進の年」であります。この時に当たり、私どもはしっかりと唱題を欠かすことなく、その功徳と歓喜と勇気をもって、一切衆生救済の最善の方途たる折伏を行じていくことが大事であります。
 どうぞ、皆様には今日を機に、いよいよ唱題に励み、誓願達成を期して折伏に邁進されますよう心からお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。