御法主日如上人御指南 
唱題行(7月31日)の砌
 大白法 平成27年8月16日
平成二十七年七月三十一日
於 総本山客殿

 今月一日より始めた七月度の唱題行も、本日をもって終了いたします。今まで参加されていた皆様には、たいへん御苦労さまでした。
 皆様にはこれからも、それぞれの所属寺院において行われる唱題行には、こぞって参加されますよう、お願いいたします。また、各家庭においても唱題行を続けられ、たくさんの功徳を積んでいただきたいと思います。
 さて、大聖人様は『上野尼御前御返事』に、
「法華経と申すは手に取れば其の手やがて仏に成り、口に唱ふれば其の口即ち仏なり。譬へば天月の東の山の端に出づれば、其の時即ち水に影の浮かぶが如く、音とひゞきとの同時なるが如し。故に経に云はく『若し法を聞くこと有らん者は一として成仏せずといふこと無けん』云云。文の心は此の経を持つ人は百人は百人ながら、千人は千人ながら、一人もかけず仏に成ると申す文なり」(御書一五七四n)
と仰せられています。
 この御文は、皆様もよく御存じの御文でありますが、御文中「法華経」と仰せられておりますのは、末法今時から拝せば、文上の法華経ではなくして、法華経本門寿量品の肝心たる南無妙法蓮華経のことであります。したがって「此の経を持つ人は百人は百人ながら、千人は千人ながら、一人もかけず仏に成ると申す文なり」との仰せは、法華経本門寿量品の肝心たる南無妙法蓮華経を持つ人は、一人も欠けず、すべて成仏することができると仰せられているのであります。
 また『妙法尼御前御返事』には、
 「白粉の力は漆変じて雪のごとく白くなす。須弥山に近づく衆色は皆金色なり。法華経の名号を持つ人は、一生乃至過去遠々劫の黒業の漆変じて白業の大善となる。いわうや無始の善根皆変じて金色となり候なり」(同一四八三n)
と仰せであります。
 ここでも、妙法信受の功徳力は、一生乃至、過去遠々劫から積み重ねてきたあらゆる悪業を転じて、白業の大善、すなわち善業に転換することができると仰せられているのであります。
 これらの御文は、いずれも妙法信受の功徳の広大なることを御教示あそばされているのであります。
 今、宗門は、来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖大御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向けて、僧俗一致して前進をしております。
 この時に当たり、我々は一人でも多くの人に、かくの如き妙法信受の功徳の偉大なることを知らしめ、苦悩に喘ぐ多くの人々に対して妙法を下種し、折伏を行じ、もって誓願達成へ向けて全力を傾注していかなければなりません。
 大聖人様は『異体同心事』に、
「日本国の人々は多人なれども、同体異心なれば諸事成ぜん事かたし。日蓮が一類は異体同心なれば、人々すくなく候へども大事を成じて、一定法華経ひろまりなんと覚へ候。悪は多けれども一善にかつ事なし」(同一三八九n)
と仰せであります。
 私どもは、この御金言を胸に、いよいよ異体同心して自行化他の信心に励み、来たるべき平成三十三年の誓願達成に向けて、まずは本年の折伏誓願を必ず達成されますようお願いし、本日の挨拶といたします。