御法主日如上人御指南 
9月度広布唱題会の砌
平成二十六年九月七日
於 総本山客殿

 皆さん、おはようございます。
 本日は、九月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 本年も既に九月に入り、明年三月の日興上人御生誕七百七十年、法華講員五〇%増の誓願達成まで、いよいよ残りあと六カ月となりましたが、皆様方には昼夜を厭わず御精進のことと拝察いたします。
 皆様も既に御承知の通り、折伏は一切衆生救済の大慈悲行であります。
 それだけに、善事をなさんとすれば必ず魔が蠢動するように、我々が善事中の善事である折伏を行じていけば、あらゆる障魔が競い起き、我らの前に立ちはだかることは必定であります。
 しかしそれは、
「此の法門を申すには必ず魔出来すべし。魔競はずば正法と知るべからず」
(御書九八六n)
と仰せのように、私どもが大聖人様の正しい仏法を弘通しているからでありますから、
むしろ、
「難来たるを以て安楽と意得べきなり」(同一七六三n)
と仰せられているように、我々の信心でしっかりと受け止めていくことが肝要であります。
 と同時に、折伏は摂受と異なり、邪義邪宗の謗法を破折し。謗法の害毒がいかに恐ろしいかを教え、正法に帰依せしめるための末法の教化法でありますから、もとより楽な折伏などはありません。
 さればこそ、我々はまず一人ひとりが真剣に、唱題に唱題を重ね、その功徳と、いかなる障魔にも微動だにしない確固たる不動の信念と決意をもって、邪義邪宗の謗法の害毒によってむしばまれ、塗炭の苦しみに喘ぐ多くの人々を、一人でも多く救っていかなければなりません。
 そもそも謗法は、五逆罪と並び、仏法における最も重い罪であります。必ず地獄に堕ちると定められているのであります。
 すなわち、五逆罪とは、御承知の通り、父を殺し、母を殺し、阿羅漢を殺し、仏身より血を出し、和合僧を破るの五罪でありますが、『呵責謗法滅罪抄』には、この五逆罪のうち、一逆罪だけを犯しても、なお一劫という極めて永い間、無間地獄の苦しみを受けると仰せられております。
 これに対しまして、謗法はこの五逆罪よりもその罪は重く、心では思っていなくても、顔かたちで嫉みの色を表したり、戯れにも正法を謗ることがあれば、あるいはまた、法華経を嫉み謗るのではなくとも、法華経を信ずる者を軽蔑するようなことがあれば、一劫はおろか、無数劫の間、無間地獄に堕ちると、経文には説かれているのであり
ます。
 よって、五逆罪とこの謗法を比べると、
「五逆と謗法とを病に対すれば、五逆は霍乱の如くして急に事を切る。謗法は白瀬  病の如し、始めは緩やかに後漸々に大事なり。謗法の者は多くは無間地獄に生じ、  少しは六道に生を受く。人間に生ずる時は貧窮下賎等、白癩病等と見えたり」(同七一一n)
と仰せのように、五逆罪とこの謗法とを病に譬えれば、五逆罪は霍乱、すなわち霍乱とは暑気あたりの病、夏に起こる日射病などの急性の病気を指し、五逆罪を犯した者はこの日射病のように急にその報いを受けますが、謗法は白癩病のように、初めはさほどではなくとも、次第次第に重くなり、やがて大事に至るのであります。
 また、謗法の者は、だいたいは無間地獄に堕ち、まれに六道に生まれる者もいますが、たとえ人間に生まれても必ず貧困であるとか、卑しい境遇にあるか、もしくは不治の病となる果報を必ず受けることになると仰せられているのであります。まさに、謗法恐るべしであります。
 故に『十法界明因果抄』には、
「慳貪・偸盗等の罪に依って餓鬼道に堕することは世人知り易し。慳貪等無き諸の善人も謗法に依り亦謗法の人に親近し自然に其の義を信ずるに依って餓鬼道に堕することは、智者に非ざれば之を知らず。能く能く恐るべきか」(同二〇八n)
と仰せられているのであります。
 したがって、謗法はそのままにしておきますと、ますます不幸の原因を増し、無惨な結果を必ず招くことになるのであります。
 故に『曽谷殿御返事』には、
「謗法を責めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし。何に法華経を信じ給ふとも、謗法あらば必ず地獄にをつべし。うるし千ばいに蟹の足一つ入れたらんが如し。『毒気深入、失本心故』とは是なり」(同一〇四○n)
と、成仏の妨げとなる謗法に対しては、厳しく破折すべきことを御教示あそばされているのであります。
 まさしく、この御金言の如く、私どもは謗法を固く禁じ、謗法を破折しなければ真の幸せを招来することはできないことを、よくよく知るべきであります。
 今、宗門は来たるべき平成二十七年・日興上人御生誕七百七十年、法華講員五〇%増を目指して、講中一結して破邪顕正の折伏に励んでいますが、誓願達成まであと半年間、誓願達成にとってこれからの戦いが極めて大事であります。
 どうぞ、皆様には異体同心・一致団結して必ず誓願を達成すべく、講中全員が立ち上がり、勇猛果敢に折伏を行じ、もって必ず全支部ともに誓願を達成されますよう心からお祈り申し上げまして、本日の挨拶といたします。