御法主日如上人御指南 
 6月度広布唱題会の砌
 平成二十六年六月一日
於 総本山客殿
 皆さん、おはようございます。
 本日は、六月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 本年も既に六月に入りましたが、皆様には僧俗一致・異体同心して、日夜、折伏誓願達成へ向けて御精進のことと存じます。
 再三、申し上げていることでありますが、第二祖日興上人の御生誕は三月八日であります。
 したがって、我々は、日興上人御生誕七百七十年に当たる、明年平成二十七年三月八日までには、なんとしてでも折伏誓願を達成しなければなりません。
 誓願達成までは残りあと九ヵ月。この九ヵ月の戦いこそ、誓願達成の成否を決定するまことに大事な戦いであり、全国の各支部は、この戦いに必ず勝利すべく、僧俗一致の強固な態勢を整え、異体同心して唱題に励み、折伏に次ぐ折伏をもって、必ず誓願を達成しなければならないと思います。
 さて、大聖人様は『神国王御書』に、「我が面を見る事は明鏡によるべし。国土の盛衰を計ることは仏鏡にはすぐべからず。仁王経・金光明経・最勝王経・守護経・涅槃経・法華経等の諸大乗経を開き見奉り候に、仏法に付きて国も盛へ人の寿も長く、又仏法に付きて国もほろび、人の寿も短かかるべしとみへて候。譬へば水は能く舟をたすけ、水は能く舟をやぶる。五穀は人をやしない、人を損ず。小波小風は大船を損ずる事かたし。大波大風には小舟やぶれやすし。王法の曲がるは小波小風のごとし。大国と大人をば失ひがたし。仏法の失あるは大風大波の小舟をやぶるがごとし。国のやぶるゝ事疑ひなし」(御書一三〇一n)
と仰せであります。
 すなわち、国土の盛衰を計り知ろうとするには、仏法の鏡に照らして見るに越したことはなく、法華経等の諸大乗経を見ると、仏法によって国も栄え、人の寿命も長くなり、また仏法によって国も亡び、人の寿命も短くなると説かれている。
 国家社会を教導すべき仏法が正しければ、人の生活も平穏であり、国家社会も安定して、人々は栄えていくが、仏法が正しからざれば、国家の指導も正しく行われず、かえって誤った仏法によって、人々は知らず知らずのうちに悪縁に誑かされて悪業を重ね、人心は極度に撹乱し。ために国家社会は安定を失い、破滅への道を歩むことになると仰せられているのであります。
 よって『諸経と法華経と難易の事』には、
「仏法やうやく顛倒しければ世間も又濁乱せり。仏法は体のごとし、世間はかげの  ごとし。体曲がれば影なゝめなり」(同一四六九n)
と仰せられ、仏法の鏡に照らして見るとき、仏法と世法との関係は、まさしく仏法は体、世間は影であり、一国はもちろん、世界の治乱興亡はひとえに、正法の隆昌と衰退とにかかっていることを明かされているのであります。
 しかるに、世間の人々は、この仏様が透徹された知見をもって示された原理が解らず、ただ騒然として喧噪を極め、抜本的な解決策もないまま、右往左往して、ますます混乱をきたしているのが現状であります。
 特に、昨今の国内外の騒然とした様相を見るとき、この感を強くするのであります。
 されば、大聖人様はこうした混沌とした末法濁悪の世相を通覧され、『立正安国論』  「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏  国なり、仏国其れ衰へんや。十方は悉く宝土なり、宝土何ぞ壊れんや。国に衰微無く土に破壊無くんば身は是安全にして、心は是禅定ならん。此の詞此の言信ずべく崇むべし」(同二五〇n)
と仰せられているのであります。
 この御文につき、総本山第二十六世日寛上人は、
「『寸心を改めて』とは即ち是れ破邪なり。『実乗に帰せよ』とは即ち是れ立正なり。『然れば則ち三界』の下は安国なり」(御書文段四九n)
と仰せられています。
 すなわち、広布達成、仏国土実現は「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ」と仰せの如く、仏法の鏡に照らして、ただひとえに破邪顕正の折伏をもってする以外にはないことを知るべきであります。
 よって、大聖人様は同じく『立正安国論』に、
  「仏道に入りて数愚案を廻らすに、謗法の人を禁めて正道の侶を重んぜば、国中安
  穏にして天下泰平ならん」(御書二四四n)
と仰せられております。また、同じく『立正安国論』に、
  「早く天下の静謐を思はゞ須く国中の謗法を断つべし」(同二四七n)
と仰せられ、さらに『聖愚問答抄』には、
「今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくださ、又法門を以ても邪義を責めよとなり」(同四〇三n)
と仰せられているのであります。
 されば、今、我々はこの御金言を心肝に染めて、一人ひとりが全世界の平和と全人類の幸せのため、仏国土実現を目指して、いかなる困難にも一歩も退くことなく、唱題を重ね、勇気凛々、破邪顕正の折伏を実践し、もって明年の日興上人御生誕七百七十年までには、必ず全支部が折伏誓願を達成すべく、晴れて仏祖三宝尊の御照覧を仰がれますように心から願うものであります。
 以上、皆様方のいよいよの御奮闘をお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。