御法主日如上人御指南 
 新年の辞
                 立宗七百六十二年の新春を寿ぎ奉る
   新年の辞
   総本山六十八世法主 日如
 立宗七百六十二年の新春を迎え、御隠尊日顕上人猊下には御機嫌麗しく新年をお迎えの御事と存じ上げます。
 また、法華講大講頭永井藤蔵氏ほか全国法華講員御一同には、清々しく新春を迎え慶賀の至りに存じます。
 昨年、宗門においては、立正安国論正義顕揚七百五十年記念局の事業として行われていた、御影堂大改修工事が七年の歳月を掛けて無事竣工し、落慶大法要並びに記念法要が国内外の僧侶並びに信徒が参加して、厳粛かつ盛大に奉修することが出来ました。
 これも偏に、海外を含め宗内僧俗御一同の真心からの御供養の賜と厚く御礼申し上げます。
 そもそも御影堂は、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の御影を御安置奉る当山の中心伽藍であります。
 その御影堂が此の度、壮麗にして優美な容姿に改修復元されたことは、我等一同の大いなる歓びであります。
 と同時に、私共はその歓びと共に、大改修成った御影堂の偉容に負けない強盛なる信心を築いていくことが肝要であります。
 即ち、御影堂は古くは日興上人の創建によるものであり、その日興上人の御生誕七百七十年を愈々明年に迎える本年、私共は御報恩のため、前途に如何なる障害や困難が惹起しようが、法華講員五十パーセント増の誓願は、講中の総力を結集して、なんとしてでも達成しなければなりません。
 その折伏実践の原動力となるのは唱題行であります。
 大聖人は『六難九易抄』に、
 「一切の事につけて所詮肝要と申す事あり。法華経一部の肝心は南無妙法蓮華経の題目にて候。朝夕御唱へ候はゞ正しく法華経一部を真読にあそばすにて候。二反唱ふるは二部、乃至百反は百部、千反は千部、加様に不退に御唱へ候はゞ不退に法華経を読む人にて候べく候」(御書 一二四三n)
と仰せられ、
 更に『内房女房御返事』には、
 「妙法蓮華経の徳あらあら申し開くべし。毒薬変じて薬となる。妙法蓮華経の五字は悪変じて善となる。玉泉と申す泉は石を玉となす。此の五字は凡夫を仏となす」(同一四九二n)
と仰せであります。
 まさしく、この唱題の功徳と歓喜をもって折伏に打って出ることが誓願達成の鍵となるのであります。
 即ち、大御本尊に対する絶対的な確信のもと、唱題の功徳と歓喜をもって折伏に励む時は、自ずと勇気と智慧が醸成され、何ものにも恐れない不動の信念となって破邪顕正の戦いに臨むことが出来るのであります。
 中国の故事に、
 「勇闘すれば則ち生き、勇ならざれば則ち死せん」
と云う言葉があります。
 力の限り戦えば生き残ることが出来ますが、そうでなければ生き残れないと云うことであります。
 応に折伏もその通り、崇高なる一天広布の願業達成を目指して身軽法重・死身弘法の決意を以って随力弘通するところ、必ず諸天善神も守らせ給い、勝利は確約されるのであります。
 されば、大聖人は『種々御振舞御書』に、
 「法華経の肝心、諸仏の眼目たる妙法蓮華経の五字、末法の始めに一閻浮提にひろまらせ給ふべき瑞相に日蓮さきがけしたり。わたうども二陣三陣つゞきて、迦葉・阿難にも勝れ、天台・伝教にもこへよかし」(御書 一〇五七n)
と仰せであります。
 第二祖日興上人御生誕七百七十年まで残り一年余、本年はすべての支部が「折伏貫徹」を旨に全力を出し切り、来たるべき平成二十七年の誓願達成へ向けて愈々御精進されますよう心から念じ、新年の辞とします。