御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
元旦勤行の砌  (令和六年一月一日 於 総本山客殿)

  「折伏前進の年」明けましておめでとうございます。
 宗内御一同には、立宗七百七十二年の新春をすがすがしく迎え、決意も新たに、いよいよの御精進・御奉公をお誓いのことと存じます。
 さて、大聖人様は『立正安国論』に、
「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国なり、仏国其れ衰へんや。十方は悉く宝土なり、宝士何ぞ壊れんや。国に衰微無く土に破壊無くんば、身は是安全にして心は是禅定ならん。此の詞此の言信ずべく崇むべし」(御書二五〇n)
と仰せであります。
 この御文は、皆様もよく御存じの通り、毎年行われる御会式の申状捧読の折に、導師の方が拝読される『立正安国論』のなかの御一文でありますが、悪世末法の姿そのままに、今日の騒然たる世の中を見る時、まさしく私どもはこの御文を拝し、一人ひとりが身軽法重・死身弘法の御聖訓のもとに、堅忍不抜の断固たる決意と勇猛果敢なる行動をもって、不幸の根源たる邪義邪宗の謗法を対治し、一天広布に向けて異体同心・一致団結して勇躍として折伏を行じ、力強く前進していかなければなりません。
 大聖人様は『兄弟抄』に、
「此の法門を申すには必ず魔出来すべし。魔競はずば正法と知るべからず。第五の巻に云はく『行解既に勤めぬれば三障四魔紛然として競ひ起こる、乃至随ふべからず畏るべからず。之に随へば将に人をして悪道に向かはしむ、之を畏れは正法を修することを妨ぐ』等云云。此の釈は日蓮が身に当たるのみならず、門家の明鏡なり。謹んで習ひ伝へて未来の資糧とせよ」(同 九八六n)
と仰せであります。
 この御教示の如く、我々が妙法広布に挺身していけば「此の法門を申すには必ず魔出来すべし。魔競はずは正法と知るべからず」と仰せの如く、三障四魔が紛然として起きることは必定であります。
 しかし、たとえいかなる障魔が競い起ころうとも、
「異体同心なれば万事を成ず」(同一三八九n)
と仰せの如く、正法正義に基づく強盛なる信心のもとに異体同心・一致団結し、一天広布を目指し力強く前進していく時には、いかなる障魔も恐れをなして退散し、必ず諸難を乗りきることができるのであります。
 されば今、末法濁悪の世相そのままに、混沌とした世間の様相を見る時、私どもは大御本尊様に絶対の信を取り、いよいよ講中一結・異体同心して、断固として破邪顕正の折伏を行じていくことが肝要であります。
 どうぞ皆様には、本年もまた、それぞれが強盛に自行化他の信心に住し、身軽法重・死身弘法の御遺訓を胸に、いよいよ妙法広布に挺身されますよう心からお祈りし、はなはだ粗略ながら、本日の挨拶といたします。