御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
8月度 広布唱題会の砌  (令和四年八月七日 於 総本山客殿)

 本日は、八月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には新型コロナウイルス感染症の全国的蔓延によって何かと御不便のなか、信心強盛に参加され、まことに御苦労さまでございます。
 本年「報恩躍進の年」も既に八月に入りましたが、皆様には日夜、折伏誓願達成へ向けて御精進のことと存じます。
 さて『聖意問答抄』を拝しますと、
「人の心は水の器にしたがふが如く、物の性は月の波に動くに似たり。故に汝当座は信ずといふとも後日は必ず翻へさん。魔来たり鬼来たるとも騒乱する事なかれ」(御書 四〇九n)
と仰せであります。
 すなわち、たとえ不退転の決意をもってことに当たるも、「人の心は水の器にしたがふが如く、物の性は月の波に動くに似たり」と厳しく御指摘されているように、移りやすきは人の心であります。
 何事もない平穏な時には悠然としていても、いざ現実に難が競い起こり、障魔が蠢動すれば、驚き慌てるのが人の常であります。
 しかし、大聖人は「魔来たり鬼来たるとも騒乱する事なかれ」と仰せられて、むしろ魔が競い起きた時こそ、信心決定の絶好のチャンスと捉え、臆することなく泰然として対処するよう注意を喚起あそばされているのであります。
 されば『椎地四郎殿御書』には、「大難来たりなば強盛の信心弥々悦びをなすべし。火に薪をくわへんにさかんなる事なかるべしや。大海へ衆流入る、されども大海は河の水を返す事ありや。法華大海の行者に諸河の水は大難の如く入れども、かへす事とがむる事なし。諸河の水入る事なくば大海あるべからず。大難なくば法華経の行者にはあらじ」(同一五五五n)
と仰せられ、たとえいかなる大難が競い起きようが、はたまた障魔が蠢動しようが、かくなる時こそ、一生成仏への絶好のチャンスと捉え、なお一層、強盛なる信心に励んでいくところ、必ず解決の道が開かれてくると御指南されているのであります。
 されば、私どもはこの御金言を拝し、改めて妙法信受の広大無辺なる功徳を拝信し、講中一結・異体同心の団結をもって破邪顕正の折伏を行じ、もって誓願達成に向けて勇躍前進していくことが、今、最も大事であると知るべきであります。
 特に、今日の騒然とした世相を見る時に、私どもは邪義邪宗の害毒によって塗炭の苦しみに喘ぐ多くの人々に、一日も早く一切衆生救済の秘法たる妙法を下種し、折伏を行じていかなければならないと思います。
 皆様方には、是非とも本年度後半の戦いに向けて、全支部が請中一結、心を一つにして折伏を遂行し、誓願を必ず達成されますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。