御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
唱題行(7月31日)の砌  於 総本山客殿

  本日は、本年度七月の唱題行の最終日に当たり、皆様方には何かと御繁忙のところ御出席され、まことに御苦労さまでございます。
 さて、『聖愚問答抄』を拝しますると、
「今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり。取捨其の旨を得て一向に執する事なかれと書けり。今の世を見るに正法一純に弘まる国か、邪法の興盛する国か勘ふべし」(御書 四〇三n)
と仰せであります。
 まさに、今日の世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延、あるいはウクライナの問題など、世上騒然とした様相を呈しておりますが、仏法の鏡に照らして見る時、これらの混沌とした惨状を根本的に解決するためには、まさしく『立正安國論』の原理に従って、破邪顕正の折伏を実践していくことが最も肝要であります。
 されば大聖人様は『立正安国論』に、
「倩微管を傾け聊経文を披きたるに、世皆正に背き人悉く悪に帰す。故に善神国を捨てゝ相去り、聖人所を辞して還らず。是を以て魔来たり鬼来たり、災起こり難起こる。言はずんばあるべからず。恐れずんばあるべからず」(同 二三四n)
と仰せられ、さらに、
「嵯呼悲しいかな如来誠諦の禁言に背くこと。哀れなるかな愚侶迷惑の麁語に随ふこと。早く天下の静謐を思はゞ須く国中の謗法を断つべし」(同 二四七n)
と仰せであります。
 これらの御文を拝する時、私どもは一人ひとりが地涌の菩薩の眷属として、勇猛果敢に折伏を行じていくことが今こそ最も肝要であろうと思います。
 どうぞ皆様には、この御指南を拝し、勇気を持って折伏を実践し、もって真の世界平和と全人類の幸せを願い、自他共の幸せを築かれんことを心からお願いいたしまして、簡単ではありますが本日の挨拶といたします。