御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
八月度 広布唱題会の砌
                        (令和3年8月1日 於 総本山客殿)

本日は、本年八月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には諸事万端御繁忙のところ、信心強盛に参加され、まことに御苦労さまでございます。
 既に皆様も御承知の通り、今、新型コロナウイルス感染症が爆発的に蔓延し、末法濁悪の世相そのままに騒然とした様相を呈しております。
 しかし、かくなる時こそ、私どもは改めて『立正安国論』の御聖意を拝し、一意専心、全力を傾注して折伏を断行していかなければならないと思います。
 大聖人様は『立正安国論』に、
「倩徴管を傾け聊経文を披きたるに、世皆正に背き人悉く悪に帰す。故に善神国を捨てゝ相去り、聖人所を辞して還らず。是を以て魔来たり鬼来たり、災起こり難起こる。言はずんばあるべからず。恐れずんばあるべからず(中略)鳴呼かな如来誠諦の禁言に背くこと。哀れなるかな愚侶迷惑の麁語に随ふこと。早く天下の静謐を思はゞ須く国中の謗法を断つべし」(御書 二三四n)
と仰せであります。
 そもそも、世の中の不幸と混乱と苦悩の原因は、誤った宗教・思想にその原因があることは、既に大聖人様が『立正安国論』において明示されている通りであります。
 されば、私どもは『法華初心成仏抄』の、
「仏になる法華経を耳にふれぬれば、是を種として必ず仏になるなり。されば天台・妙楽も此の心を以て、強ひて法華経を説くべしとは釈し給へり。譬へば人の地に依りて倒れたる者の、返って地をおさへて起つが如し。地獄には堕つれども、疾く浮かんで仏になるなり。当世の人何となくとも法華経に背く失に依りて、地獄に堕ちん事疑ひなき故に、とてもかくても法華経を強ひて説ききかすべし。信ぜん人は仏になるべし、謗ぜん者は毒鼓の縁となって仏になるべきなり。何にとしても仏の種は法華経より外になきなり。」
(同一三一六n)
との御金言を拝し、新型コロナ感染症によって騒然としている今こそ、講中一結・異体同心して、一人でも多くの人達に広大無辺なる妙法の功徳を説き、折伏を行じていかなければならないのであります。
 大聖人様は『持妙法華問答抄』に、
「寂光の都ならずば、何くも皆苦なるべし。本覚の栖を離れて何事か楽しみなるべき。願はくは「現世安穏後生善処」の妙法を持つのみこそ、只今生の名聞後生の弄引なるべけれ。須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ、他をも勧めんのみこそ、今生人界の思出なるべき。」(同 三〇〇n)
と仰せられています。
 まさにこの御文を拝する時、私どもは値い難き末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様の仏法に値い奉り、今こうして妙法広布への戦いに加わることができましたことを心から感謝するとともに、これからも、なお一層の精進をもって折伏を行じ、一天四海皆帰妙法を目指して、精進されますよう心から願い、はなはだ粗略ながら、本日の挨拶といたします。