御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
元旦勤行の砌
(令和3年1月1日 於総本山客殿)

 新年、あけましておめでとうございます。
 立宗七百六十九年の新春を迎え、宗内僧俗御一同には、すがすがしく新年を迎えられ、決意も新たに、いよいよの精進をお誓いのことと思います。
 さて、本年は宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の記念すべき年であります。この千載一遇の大佳節を迎えるに当たり、宗門は法華講員八十万人体勢構築の誓願を立て、国内寺院所属の法華講全支部が昼夜を分かたず、講中一結して勇猛果敢に折伏を展開した結果、見事に誓願を達成することができましたことを心からお祝い申し上げます。まことにおめでとうございました。
 さらに、米国、ブラジル、大韓民国、台湾をはじめ宗務院海外部管轄の海外信徒を含めますと百万人に迫る陣容となり、世界広布を視野に入れた大きな成果を挙げることができましたことは、必ずや仏祖三宝尊も御照覧あそばされていることと慶賀に堪えません。
 これもひとえに、国内外の僧俗一人ひとりの弛まぬ努力と、一天広布を願う強盛なる信心、さらに死身弘法の御聖訓のままに時を断つことなく、異体同心して折伏を実践してきた結果であり、改めてその御健闘を祝するとともに心から敬意を表するものであります。 大聖人は『聖愚問答抄』に、
「抑仏法を弘通し群生を利益せんには、先づ教・機・時・国・教法流布の前後を弁ふべきものなり。所以は時に正像末あり、法には大小乗あり、修行に摂折あり。摂受の時折伏を行ずるも非なり。折伏の時摂受を行ずるも失なり。然るに今の世は摂受の時か折伏の時か先づ是を知るべし。摂受の行は此の国に法華一純に弘まりて、邪法邪師一人もなしといはん、此の時は山林に交はりて観法を修し、五種六種乃至十種等を行ずべきなり。折伏の時はかくの如くならず、経教のおきて蘭菊に、諸宗のおぎろ誉れを擅にし、邪正肩を並べ大小先を争はん時は、万事を閣いて謗法を責むべし、是折伏の修行なり。此の旨を知らずして摂折途に違はゞ得道は思ひもよらず、悪道に堕つべしと云ふ事、法華・涅槃に定め置き、天台・妙楽の解釈にも分明なり。是仏法修行の大事なるべし。」
(御書 四〇二n)
と仰せであります。
 未来広布への願業は、御本仏宗祖日蓮大聖人よりの御遺命であります。我ら本宗僧俗は一天四海本因妙広宣流布達成のその日まで「万事を閣いて謗法を責むべし」との御聖訓を心肝に染め、時を断つことなく、破邪頗正の折伏を実践していかなければなりません。
 各位には、この御聖訓を拝し、なお一層の決意をもって、今時の如きコロナ禍をはじめ、混迷を極めている現状を打開し、不幸の根源たる邪義邪宗の謗法を対治して、もって講中一結・異体同心して一天広布を目指し、いよいよ御精進されますよう心より願い、はなはだ粗略ながら、一言もって新年の挨拶といたします。