御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
11月度 広布唱題会の砌
(令和2年11月1日 於総本山客殿)

 本日は、本年十一月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には諸事万端御繁忙のところを出席され、まことに御苦労さまです。
 既に本年も十一月に入り、いよいよ残り二月となりましたが、皆様には本年度の折伏誓願達成に向かって、日夜、懸命に御精進のことと思います。
 大聖人様は『法華初心成仏抄』に、
「仏になる法華経を耳にふれぬれば、是を種として必ず仏になるなり。されば天台・妙楽も此の心を以て、強ひて法華経を説くべしとは釈し給へり。譬へば人の地に依りて倒れたる者の、返って地をおさへて起つが如し。地獄には堕つれども、疾く浮かんで仏になるなり。当世の人何となくとも法華経に背く失に依りて、地獄に堕ちん事疑ひなき故に、とてもかくても法華経を強ひて説ききかすべし。信ぜん人は仏になるべし、謗ぜん者は毒鼓の縁となって仏になるべきなり。」(御書一三一六n)
と仰せであります。
 この御文は、皆様方もよく御存じの御文と思いますが、今、改めて拝しますと、まことに大事な御教示がお示しあそばされていることに気が付くと思います。すなわち、この御文は逆縁の功徳について述べられておりまして、妙法を耳に触れた者は、たとえ信ぜず反対する人でも、その人の心肝仏種が植え付けられたことになり、それが種となり、熟となり、やがて必ず成仏に至ると仰せられているのであります。
 されば、我々は信謗共に救済する広大無辺なる妙法の絶対の功徳を信じ、一意専心、一人でも多くの人々に強いてこの妙法を説き、折伏を行じていかなければならないことを知るべきであります。
 特に、末法今時の本未有善の衆生は、直接、法華経を誹謗していなくても、法華経を誹謗している邪義邪宗を信じて、知ると知らざるとにかかわらず、法華誹謗の罪を犯していることになり、堕地獄は疑いないのでありますから、とにかく法華経を強いて説くべきであります。なぜなら、信ずる者は仏と成り、たとえ反対する者も毒鼓の縁となって仏に成るからであります。
 されば、大聖人様は『十法界明因果抄』に、
「慳貪等無き諸の善人も謗法に依り亦謗法の人に親近し自然に其の義を信ずるに依って餓鬼道に堕することは、智者に非ざれば之を知らず。能く能く恐るべきか。」
(同 二〇八n)
と仰せられ、謗法の人に親近して、いつの間にか影響を受けて謗法に与同してしまうことが間々ありますが、それを避けるためには、法華経を強いて説き聞かせることが肝要なのであります。また、己れ自身も与同罪を受けることなく、成仏得道の道を歩むことができるのであります。
 されば順縁・逆縁、信謗共に成仏の種子は法華経よりほかはなく、もし世間の人が愚かな考えをもって、方便権経でも仏に成れると言うのであれば、なぜ仏は強いて法華経を説いて、謗ずる者も信ずる者も利益があると説き、また、
「我身命を愛せず 但無上道を惜む」(法華経 三七七n)
と説かれたのであろうか。道心ある人は、よくよく心得なければならないと仰せられているのであります。
 もちろん、ここで「法華経」と仰せられているのは、法華経の肝心たる寿量品文底秘沈の南無妙法蓮華経のことであります。
 故に、大聖人様は『聖愚問答抄』に、
「此の妙蓮華経を信仰し奉る一行に、功徳として来たらざる事なく、善根として動かざる事なし」(御書四〇八n)
と仰せられているのであります。
 特に今、宗門は総力を結集して、いよいよ明年に迫った宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の誓願達成へ向けて、僧俗一致・異体同心して、昼夜を分かたず折伏に励んでいます。
 申すまでもなく、法華講員八十万人体勢構築の誓願は、私どもが御宝前に固くお誓い申し上げた約束であります。
 されば、今こそ私どもは、新型コロナウイルス感染症等の障害を排し、講中一結して決然として折伏に立ち上がり、御宝前に誓った折伏誓願を必ず達成しなければならないと思います。
 皆様方のいよいよの御活躍を心から願い、本日の挨拶といたします。