御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
7月度 唱題会の砌
(令和2年7月1日 於総本山客殿)

 皆様、おはようございます。
 本年も恒例により、総本山におきましては七月度の唱題行を開催いたします。
 ただし、新型コロナウイルス感染症対策の規制によりまして、七月十日までは山内僧侶のみで実施いたしますが、規制が緩和されますので、十一日よりは御信徒の方々も参加できますので、よろしく御承知くださるようお願いいたします。
 さて、大聖人様は『御義口伝』のなかで、
「今日蓮が唱ふる処の南無妙法蓮華経は末法一万年の衆生まで成仏せしむるなり。豈今者已満足に非ずや。已とは建長五年三月廿八日に始めて唱へ出だす処の題目を指して已と意得べきなり。妙法の大良薬を以て一切衆生の無明の大病を治せん事疑ひ無きなり」(御書一七三二n)
と仰せであります。
 すなわち、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人が唱えあそばされた本因下種の妙法は、末法万年の衆生までも成仏せしめる大良薬にして、この妙法の大良薬をもって一切衆生の根本の迷いである無明の大病を治することができることは疑いないと仰せられているのであります。
 されば『四条金吾殿御返事』には、
「真実一切衆生色心の留難を止むる秘術は唯南無妙法蓮華経なり」(同一一九四n)
と仰せられているのであります。
 私どもはこれらの御文を拝し、本因下種の妙法の広大無辺なる功徳を拝信するとともに、この広大無辺なる功徳を一人でも多くの人々に知らしめていくことが今、最も肝要であると知るべきであります。
 『唱法華題目抄』には、
「末代には善無き者は多く善有る者は少なし。故に悪道に堕せん事疑ひ無し。同じくは法華経を強ひて説き聞かせて毒鼓の縁と成すべきか。然れば法華経を説いて謗縁を結ぶべき時節なる事諍ひ無き者をや」(同二三一n)
と仰せられています。
 「毒鼓の縁」とは、皆様もよく御承知の通り、毒薬を塗った太鼓を大衆のなかでたたけば、聞こうとする気はなくとも皆、死ぬという話で、これは、たとえ法を聞こうとせず反対したとしても、やがて煩悩を断じて得道できることを毒鼓を打つことに譬えているのであります。すなわち、一切衆生には皆、仏性が具わっており、たとえ逆縁の衆生であっても、妙法蓮華経を聞くことによって正法と縁を結ばせ、将来、必ず救うことができることを言うのでありますから、私どもが折伏するに当たっては極めて大事な話であります。
 また『聖愚問答抄』には、
「今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり」(同 四〇三n)
と仰せであります。
 これらの御文から、今、末法にあって、特に今日の如き、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、世界中が騒然としている時、私どもは声を大にして妙法の広大無辺なる功徳を説き、一人でも多くの人々に下種折伏をしていかなければなりません。
『南条兵衛七郎殿御書』には、
「いかなる大善をつくり、法華経を千 万部書写し、一念三千の観道を得たる人なりとも、法華経のか如きをだにもせめざれば得道ありがたし」(同 三二二n)
と仰せであります。
 どうぞ皆様には、この御文を拝し、講中一結・異体同心して折伏を行じ、妙法広布に精励されますことを心からお祈りし、本日の挨拶といたします。