御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
2月度広布唱題会の砌
(令和2年2月2日 於総本山客殿)

 本日は、二月度の広布唱題会に当たり、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 既に皆様も御承知の通り、本年「御命題達成の年」は、私どもがかねて御宝前にお誓い申し上げた法華講員八十万人体勢構築の総仕上げの年として、全国の全支部が持てる力のすべてを尽くして、一支部も残すことなく、必ず誓願を達成しなければならない、まことに大事な年であります。
 したがって、本日ここにお集まりの方々をはじめ、全国の法華講員は一人も漏れず、法華講員八十万人体勢構築の誓願のもとに広布の陣列に加わり、誓願達成へ向けて、なお一層の精進をしていかなければなりません。
 そもそも、御本仏宗祖日蓮大聖人様の末法御出現の目的は、末法の一切衆生をして等しく成仏せしめるためであります。その御本仏大聖人様の御遺命を今に正しく継ぐ者こそ、まさしく我ら日蓮正宗の僧俗であります。
 特に今、濁世末法の世相そのままに、人心は極度に混乱し、民族間の争いが絶えず、あるいは新型コロナウイルスの流行など、騒然とした様相を呈し、先の見えない状態であります。こうした混迷を極める人心を救済し、真の幸せを築くためには、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様の教えをもってする以外にはないことをそれぞれが銘記し、なお一層の精進をもって折伏を行じていかなければなりません。
 大聖人様は『如説修行抄』に、
 「夏はあたゝかに冬はつめたく、春は花さき秋は菓成る。春種子を下して秋菓を取るべし。秋種子を下して春菓実を取らんに豈取らるべけんや。極寒の時は厚き衣は用なり、極熱の夏はなにかせん。涼風は夏の用なり、冬はなにかせん。仏法も亦是くの如し。小乗の法流布して得益あるべき時もあり、権大乗の流布して得益あるべき時もあり、実教の流布して仏果を得べき時もあり。然るに正像二千年は小乗・権大乗の流布の時なり。末法の始めの五百歳には純円一実の法華経のみ広宣流布の時なり。此の時は闘諍堅固・白法隠没の時と定めて権実雑乱の砌なり。敵有る時は刀杖弓箭を持つべし、敵無き時は弓箭兵杖なにかせん。今の時は権教即実教の敵と成る。一乗流布の代の時は権教有って敵と成る。まぎらはしくば実教より之を責むべし。是を摂折の修行の中には法華折伏と申すなり。天台云はく「法華折伏破権門理」と、良に故あるかな。」(御書 六七二n)
と仰せであります。
 この御文中「末法の始めの五百歳には純円一実の法華経のみ広宣流布の時なり」と仰せのように、末法は「純円一実の法華経」すなわち、純円とは純粋無二にして円融円満の教え、一実と申しますのは一仏乗、真実義を説くお経のことで、すなわち法華円教を指します。
 この御文について、総本山第二十六世日寛上人は、
「付文の辺は権実本迹なり。元意の辺は種脱本迹なり。『純円』とは本
尊抄に云わく『在世の本門と末法の初めと一同の純円なり』文」(御書文段 六〇五n)
とお示しの通り、純円一実の法華経とは、三大秘法の南無妙法蓮華経のことであります。
 つまり、末法は三大秘法の南無妙法蓮華経が広宣流布すべき時であり、この時は爾前権教はすべて実教すなわち、正法の敵となるため、三大秘法の立場からこれら爾前権教を責めなければならないと仰せられているのであります。
 されば、大聖人様は『聖意問答抄』に、
「経教のおきて蘭菊に、諸宗のおぎろ誉れを擅にし、邪正肩を並べ大小先を争はん時は、万事を閣いて謗法を責むべし、是折伏の修行なり。此の旨を知らずして摂折途に違はゞ得道は思ひもよらず、悪道に堕つべしと云ふ事、法華・涅槃に定め置き、天台・妙楽の解釈にも分明なり。是仏法修行の大事なるべし。」(御書四〇二n)
と仰せであります。
 つまり、末代濁悪の世となると、人心が乱れ、人心が乱れるから世の中が乱れ、世の中が乱れると、それが広く国土世間に及び、旱魃、疫病、大雨、大風等の異変が起き、それがまた原因となり、悪循環して、ますます人心が乱れ、世の中が乱れ、骨肉相食む悲惨な様相を呈し、一国が皆、無間大城の苦しみを受けることになると仰せられているのであります。
 では、人心が乱れる最大の原因は何かと言えば、間違った思想や考え、すなわち邪義邪宗の謗法の害毒によるのであります。故に『秋元御書』には、
「謗法の者其の国に住すれば其の一国皆無間大城になるなり」(同一四五〇n)
と仰せられているのであります。
 まさに、恐るべきは謗法であります。この謗法を対治してこそ、世の中は平和になるのであります。ここに今、私どもが謗法を対治し、折伏を行じていかなければならない大事な理由が存しているのであります。
 大聖人様は『阿仏房尼御前御返事』に、
「相構へて相構へて、力あらん程は謗法をばせめさせ給ふべし」(同九〇七n)
と仰せであります。
 私どもはこの御金言を心肝に染め、けっして忘れることがあってはなりません。
 されば、御命題達成の本年、一人ひとりがこの御金言を心肝に染め、謗法の害毒によって不幸に喘ぐ多くの人々に対し、大慈大悲の心をもって折伏に励み、法華講員八十万人体勢構築の誓願を達成しなければなりません。
 大聖人様は『一念三千法門』に、
「百千合はせたる薬も口にのまざれは病も愈えず。蔵に宝を持てども開く事を知らずしてかつへ、懐に薬を持ちても飲まん事を知らずして死するが如し」(同一一〇n)
と仰せであります。
 信心とは実践であります。特に、今月は末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様の御誕生の月であります。
 この時に当たり、どうぞ皆様には、この御金言を忘れず、本年は必ず全国の全支部が一支部も残ることなく、折伏誓願を達成されますよう心からお願いいたしまして、本日の挨拶といたします。