御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
唱題行(七月一日)の砌
(令和元年7月1日 於総本山客殿)

 皆様、おはようございます。
 本年も恒例により、総本山におきましては七月度の唱題行を開催することになりました。
 基本的には毎日、午前八時より一時間行いますが、七日、十三日、十五日は、御講を奉修いたしますので、一時間繰り下げて午前九時より行います。皆様にはよろしく御承知のほど、お願いいたします。
 さて、法華経宝塔品を拝しますと、
「此の経は持ち難し 若し暫くも持つ者は 我即ち歓喜す 諸仏も亦然なり 是の如きの人は 諸仏の歎めたもう所なり 是れ則ち勇猛なり 是れ則ち精進なり」(法華経三五四n)
とあります。
 この経文は、先に「六難九易」について述べられたあと、続いて説かれた偈文であります。
 すなわち「法華経を持つことは実に広大なる修行であり、難事であるが、もし少しでも持てば、我れ釈迦牟尼も歓喜し、十方の諸仏も皆、お喜びになる。かくの如き人は、まさに諸仏に褒められるべき人であり、これを勇猛と言い、精進と言うのである」と仰せられているのであります。
 日寛上人の『依義判文抄』には、勇猛精進について、
「『勇猛精進』は即ち是れ信心・唱題なり、故に本門の題目と為すなり。中に於て『勇猛』は是れ信心なり(中略)『精進』は即ち是れ唱題の行なり」(六巻抄八九n)
と仰せであります。
 今、宗門は総力を結集して、来たるべき令和三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の実現へ向けて、各講中ともに僧俗一致・異体同心して日夜、破邪顕正の折伏を行じ、力強く前進をしております。
 この時に当たり、我ら本宗僧俗は一人も漏れず、異体同心の御聖訓を拝し、一致団結して唱題に励み、破邪顕正の折伏戦を展開し、もって必ず誓願を達成しなければならないと思います。
 ただし、妙法広布の戦いは、けっして楽な戦いではありません。
 『兄弟抄』には、
「此の法門を申すには必ず魔出来すべし。魔競はずは正法と知るべからず。第五の巻に云はく『行解既に勤めぬれば三障四魔紛然として競ひ起こる、乃至随ふべからず畏るべからず。之に随へば将に人をして悪道に向かはしむ、之を畏れば正法を修することを妨ぐ』等云云。此の釈は日蓮が身に当たるのみならず、門家の明鏡なり。謹んで習ひ伝へて未来の資糧とせよ」(御書九八六n)
と仰せであります。
 私どもが一天広布へ向けて折伏を行じていけば、魔は紛然として競い起きます。されど、いかなる魔も仏様には勝てません。
 大聖人様は『得受職人功徳法門抄』に、
「此の妙法蓮華経は本地甚深の奥蔵、一大事因縁の大白法なり。化導三説に勝れ功一期に高く、一切衆生をして現当の悉地成就をせしむる法なるが故に、此の経受職の人は是くの是く功徳を得るなり。釈に云はく『法妙なるが故に人貴し』等云云」(同 五九四n)
と仰せであります。
 本年も既に半ばに入りました。皆様には寸暇を割いて折伏に励んでいることと思いますが、これからの半年の戦いが極めて大事であります。是非とも、一支部も遅れを取ることなく、必ず折伏誓願を達成され、もって御本仏の御照覧を仰ぎ奉るよう心から念じ、本日の挨拶といたします。