御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
広布唱題会
(令和元年5月5日 於総本山客殿)

 本日は、本年五月度の広布唱題会に当たり、皆様には御繁忙のところ、御出席され、まことに御苦労さまです。
 さて、今月一日より年号が平成から令和に変わりました。したがって、本日の広布唱題会は令和最初の広布唱題会となります。皆様方には、心機一転、いよいよ一天広布を目指して、なお一層の精進を願うところであります。
 今、宗門は、各支部ともに総力を結集して、来たるべき令和三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の実現へ向けて、全力を傾注して力強く前進をしております。
 既に皆様も御承知の通り、法華講員八十万人体勢の構築は、私どもが御宝前に固くお誓い申し上げた大事な目標であります。
 したがって、すべての支部は、この誓願をなんとしてでも達成すべく、いかなる困難・障害があっても、全力を傾注して必ず達成しなければなりません。そのためには、私ども一人ひとりが地涌の菩薩の眷属としての自覚と確信を持って、いかなる障魔が眼前に立ちはだかろうが、異体同心し、勇気を持って決然として折伏を行じていくことが肝要であります。
 されば、大聖人様は『持妙法華問答抄』に、
「寂光の都ならずば、何くも皆苦なるべし。本覚の栖を離れて何事か楽しみなるべき。願はくは『現世安穏後生善処』の妙法を持つのみこそ、只今生の名聞後世の弄引なるべけれ。すべからく心を一にして南無妙蓮華経と我も唱へ、他をも勧めんのみこそ、今生人界の思出なるべき」(御書 三〇〇n)
と仰せであります。
 この御文中「現世安穏後生善処」とは、法華経薬草喩品の御文でありまして、前文から拝しますと、仏様が種々に法を説かれることに対して、
「皆歓喜し快く善利を得せしむ。是の諸の衆生、是の法を聞き已って現世安穏にして後に善処に生じ云云」(法華経 二一七n)
と仰せられているのであります。
 すなわち、妙法を聞いて信ずる人は、現世では安穏な生活を送ることができ、後世では善処、すなわち諸仏の浄土に生まれることができると、三世にわたる広大なる仏様の功徳を仰せられているのであります。
 また『秋元殿御返事』には、
「南無妙法蓮華経と唱へさせ給へ。『現世安穏後生善処』疑ひなかるべし。法華経の行者をば一切の諸天、不退に守護すべき経文分明なり」(御書 三三四n)
と仰せられ、強い決意をもって、南無妙法蓮華経と唱え奉る者は、現世安穏後生善処疑いなく、一切の諸天善神が必ずその行者を守護すると仰せられているのであります。
 さらに『上野殿御消息』には、
「総じて此の法華経を強く信じまいらせて、余念なく一筋に信仰する者をば、影の身にそふが如く守らせ給ひ候なり。相構へて相構へて、心を翻へさず一筋に信じ給ふならば、現世安穏後生善処なるべし」(同 九二三n)
と仰せであります。
 この御文中「余念なく一筋に信仰する者」とは、すなわち自行化他にわたる信心を専らにして、一筋に妙法を行ずる者を言い今日においては、来たるべき令和三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の実現へ向けて、身軽法重・死身弘法の御聖訓を体し、勇猛果敢に折伏を行じ、信行に励む者のことであります。
 すなわち、自行化他の信心に励む者は、必ずや大御本尊様の広大無辺なる功徳を得て、現世安穏後生善処は疑いないと仰せられているのであります。
 今、宗門はいよいよ二年後に、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大慶事をお迎えすることになります。
 私どもは千載一遇の好機を迎えるに当たり、一人も遅れを取ることなく、敢然たる決意をもって勇猛果敢に折伏を行じ、もって御宝前にお誓い申し上げた法華講員八十万人体勢構築の誓願を必ず達成し、一人ひとりが広大無辺なる仏恩に報い奉るよう心から願うものであります。
 どうぞ皆様には、いよいよ信心強盛に、一人も漏れることなく誓願達成へ向けて精進されますことを心からお祈りして、本日の挨拶といたします。